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歯科医師余過剰問題

現在、コンビニエンスストアの店舗数より歯科医院数が多いと言われます。そして、全国的に歯科医院が増えたために、過当競争状態となり、経営が悪化する医院が増えていると言います。歯科医師のワーキングプアやニート化は深刻な問題となっており、また、帝国データバンクによると1987年度~2004年度に発生した医療機関の倒産628件のうち、その約43%(268件)を歯科医院が占めているとのことです。

 

また、患者の見地から考えたとき、良い歯科医院を選別できるという点で、それほど悪いことではいように思えます。しかし、現状のような極めて過剰な状態では、コスト削減のために、衛生面など安全管理の不徹底や、過剰診療、過剰請求などの問題が起こる可能性があり、良いことではありません。

 

 

原因

 

歯科医師余過剰問題の原因に関しては、一つに、昔に比べて私立の歯科大の数が増え、その結果歯科医がどんどん生まれたことがあげられます。日本において、あらゆる診療科全ての医師を養成する医学部の1年間あたりの卒業者数が7,5008,000人であるのに対し、歯学部は単独で2,7003,000人の卒業生がいます。この数字からもいかに歯科医が多いかがわかります。

 

WHO1980年に「歯科補助者を十分に活用すれば、歯科医師は人口12千人に1人でよくなるので、各国歯科医師会は需給対策を立ててほしい」とアピ―ルしました。しかし、行政の対応の不備や遅れが結果的に、現在の供給過剰を生み出したということは否めません。ちなみに、2002年の日本における歯科医師は人口12千人に8,52人ということです。

 

また、もう一つの原因として、少子化による人口減少や、予防教育などによりむし歯になりやすい子供の数が減ったということと、日本では、欧米諸国のように定期検診などで通うことが少ないということも原因としてあげられています。

 

 

経緯

 

むし歯が社会問題となりはじめ、歯科医療の充実が叫ばれつつあった1960年頃、日本には歯科医師養成大学が東京歯科大学、日本歯科大学など7校しかなく、国は歯学部の新設を推進しました。そして1965年までに東北大学、新潟大学など6校に歯学部が新設。その後1980年代前半にかけて歯学部がさらに16校新設、増設され、国立大学法人11校、公立大学法人1校、私立大学17校の合計29校に増えました。定員数の合計は国公立が約500人、私立が約2,500人となっています。

 

人数のバランスから言えば、私立の定員減が求められるのは自然なことでありますが、経営状況の悪化や、学問の自由という観点から、なかなかうまくいかないまま、現在に至っているようです。

 

 

対策

 

これから先、日本は急速な少子化などから人口減少社会に突入し、歯科受療率も下降の一途を辿っていくことを考えると、現在の保険制度のあり方を含めて、政治的解決な対策をとる必要があります。そこで、行政は歯大や歯学部の統合・再編を促して入学定員を早期に1割削減するほか、国家試験の合格基準を引き上げて合格者を絞り込むことによって、さらに歯科医師数を削減することを目指しています。

 

また、新しく国家試験に合格する者の人数を抑制するだけでなく、歯科医師定年制を導入し、年配歯科医師の診療現場からの現役引退を促進する必要があると考えている歯科医療関係者も少なくありません。

 

ところで、このような供給過剰が問題として浮かび上がる中、地方では深刻な歯科医師不足に悩まされていることから、都市部から歯科医師の少ない地域に移ることも有効な対策の一つと言えます。自治体も診療所や助成金を用意して懸命の誘致を行っているケースもあるようです。しかし、現実にはなかなか思うようにことは運んでいないようです。